職種を変えても、電話は変わらない

ぷるるるる、ぷるるるる……。

「はい、ドライジーネです」

「自転車屋さんですよね?」

……来た。今日も来た。
この一言に、いまだにうまく返せない。
なぜなら、こういう電話の九割九分が、普通の自転車の修理依頼だからだ。

当店は「旅する自転車の店」であって、いわゆる“町の自転車屋さん”とは、ちょっと違う。
しかし電話口の向こうは、そんな事情など露ほども知らない。

GoogleMapの職種を「アウトドアショップ」にしてみたのだが、
おそらく誰も見ていない。
いや、見ていても理解されていない。
いや、それ以前に読まれていない可能性のほうが高い。

そして今日もまた、平然と修理依頼の電話が鳴る。

いっそ職種を「合体ロボット販売所」にしてみようかと思ったが、
それを見た人が「コンバトラーVのおもちゃの修理をお願いします」と電話をしてきたら、
それはそれで困る。

.....結論としては、
何をどう設定しようが、私は一生「自転車屋ですか?」と聞かれ続けるのだろう。
もう、それでいい気もしてきた。

たぶん、慣れた。

一台は旧電話番号機、もう一台は新電話番号機
旧電話番号機は、ほぼどこかの会社の営業のお電話

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