船長室

極秘の「ＤＳ：レトライト計画」

恒星日誌　地球歴2024.09.17

我々は、高温の続くデルタ太宰府域を航行中である。

摂氏30度を遥かに超えるこの過酷な環境下、船体構造モジュール、冷却システム、および乗組員の健康状態はすべて自動モニタリングにより正常と確認されている。
エアコンはフル稼働し、涼を保っているが、まだまだ耐え忍ばなくてはならない。

そんな時、宇宙艦隊司令部から新たな命令が下った。
かつて封印されたプロジェクト、開発コードネーム「ＤＳ：レトライト」の再稼働を命じられたのだ。

「ＤＳ：レトライト」とは、ツーリング車に搭載する次世代ヘッドライトシステムである。

当時、技術は完成しつつあったものの、無情にもプロジェクトは物理的な制約により、暗黒の封印を下された。
物理的制約とは「大径車取り扱えず」とう店の狭さからの決定で、痛恨の一撃であった。

しかし、今ここに、そのシステムが再び甦る時が来たのだ。
再稼働する「ＤＳ：レトライト計画」。
これは、我々が一度諦めた夢を取り戻す最後のチャンスである。
技術の粋を結集し、プロジェクトを成功させねばならない。
今回の任務の成否は、艦隊全体の未来に関わる。
我々は、この過酷な環境下でも、かつての技術を超える新たな光を灯すことを誓う。

成功なくして、進展なし。