モールトン外伝 ダイナベクターDV-1 インプレッション

MOULTON BICYCLEの日本輸入代理店であるダイナベクター社が開発しているモールトンタイプの小径自転車 「DV-1」。
その最終プロトタイプが当店へやって来ました。


約10年もの月日を開発に費やし、ついに近日量産される事になったDV-1ですが、最初のプロトタイプから、随分フレームの変更がなされていますね。



主な変更点としては、旧プロトタイプが採用の骨太のパイプを使ったメインフレームを、一部細いパイプを使い、従来のモールトンらしいトラスフレーム形状を形作っていること。
そして、モールトンとは全く違う部分として、そのフレームを補強するようにスポークが張り巡らされている所は以前とほぼ同じです。

さて、そのスポークを張った姿ですが、私には帆船のようなイメージが浮かびます。帆船の中でも帆を降ろした日本丸の姿などはとても美しく思いますが、それとオーバーラップして、先進性というよりどこか懐かしいメカニカルさにひかれます。



それでは、いつもテストコースにしている四王時山へ持ち込み、登坂能力のテストと下りの性能を試してみましょう。



坂を上り始めると、以前生産されていたフレーム剛性の高いAM-ESPRIT非分割に似た、こぎの軽いペダリング具合を感じます。
旧来のモールトンと同じくペダリングに合わせてフネフネと動くフロントサスペンションを見ていると、ロスが発生している感じがしますが、そんな時はペダリングをやり方を少し変えてやる事でスクワットな現象を抑える事ができます。

なんでも道具におんぶにだっこでななく、自分を機械に合わせてやる事も趣味としての面白さかなと思っています。



山の中腹でのワンショットです。山岳路の風景とDV-1いかがでしょうか。ぱっと見た感じ僕の目には17インチのモールトンそのものに映り、全く新しい物と言うより、とても親しみの方を感じてしまいました。

また、DV-1にはリアキャリアを取り付けるダボが付いています。
ぜひキャリアを装着し、リアバッグに荷物を積んだ旅自転車として峠でたたずんでいる姿もみてみたいものです。



更に登っていくと、登山中のおばさまから「すごーい」っと声をかけられました。タイヤがちっちゃいのにぐいぐいと坂を上って来る姿がそう思わせるのでしょうね。
そいえば、モールトンに乗っていると、見知らぬおばさまから「かわった自転車ね~」とか「これレース用?」とか声をかけられる事があります。それもこれもジェントルな国の可愛らしい小径車に乗っているからかもしれませんね。



さて、登りついたら下りのテスト開始です。
四王子山の山頂にいたる道路には、カーブの所に注意を促すためのシマシマのペイントが随所に施されています。
ここをモールトンで走ると、車種やセッティングによっては、酔うようなバタバタした前後の揺れが発生するのですが、DV-1は揺れが極めて少く、ダンパーの効いたようなしっとりしたフィーリングでその上をクリアーしていく事ができました。この安心感と安定感には驚きです。最初のプロトタイプとはフィーリングが随分違うのですよ。



そして、ここからがDV-1の真骨頂であるアンチノーズダイブシステムを体感する事になります。
このアンチノーズダイブ理論に基づいた設計がなされたフロントサスペンションは、ブレーキングの際に一定のストロークからのサスペンションの沈みが抑えらる構造になっています。

その為、下りのコーナー入り口で減速の為のブレーキングをしても、大きくノーズダイブ(沈み込み)する事なく安心したコーナーリングをする事ができるのです。

実際体感すると、この構造は従来のAMシリーズとは違い、コーナーで思うがままに走らせる事がとても楽しく、しばし酔いしれて存分に下りをたのしんでしまった程です。
そして、また乗りたい!と今日も思っています。



さてこのDV-1、AMシリーズと比較して平地でのスピード維持のしやすさはさほど違いを感じませんが、しばらく乗りこなして同調率が高まって来るにつれ、また違った印象を感じるかもしれません。
その辺りは、ぜひご所有になった方に楽しく体感いただけたらと思います。そいう風に、サスペンションのセッティングなども含めて、色々発見していくのもこのモールトンやDV-1の楽しみ、楽しさであると思いますよ。

それにしてもこのDV-1、まだ英国モールトン社より「モールトンの自転車」としての認定が降りてないようですが、このフォルムを見ていると、いつも見ているAMシリーズに非常に近いテイストで、モールトンい以外の何物でもない感じです。
近い将来、きっと和製モールトンとして「モールトン」と呼べる日が来るといいですね。

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